2015年6月21日日曜日

会員近著 西原大輔『日本名詩選』

西原大輔『日本名詩選1・2・3』
笠間書院、2015年、各248・232・274頁、各1600円+税内容紹介

〔内容紹介〕
近現代詩入門としての詩歌集〈アンソロジー〉、登場

【本書の特徴】
●鑑賞・注釈を添え、近現代詩の入門に最適。
●時代順に並べ歴史を掴める構成。
●定説に加え、最新の研究成果も盛り込んだ解釈。

〔著者による自作紹介〕
 『日本名詩選』は、明治・大正・昭和の222篇の詩に、鑑賞と注釈を加えた本です。この30年以上、近現代詩の評釈本は、ほとんど刊行されて来ませんでした。広い範囲に目配りができる研究者が乏しく、また著作権使用料の問題が、経済的に出版を阻んでいたものと考えられます。
 しかし、それ以前には、名詩評釈本がいくつか流通していました。これらは1950年代から1970年代に集中しています。

 伊藤信吉『現代詩の鑑賞』(新潮文庫、1952~1954年)
 北川冬彦『現代詩』(角川新書、1956~1957年)
 吉田精一・伊藤信吉・村野四郎『鑑賞現代詩』(筑摩書房、1961~1962年)
 関良一『近代文学注釈体系近代詩』(有精堂、1963年)

 草野心平編『現代詩の鑑賞』(現代教養文庫、1964年)
 小海永二編『現代詩の解釈と鑑賞事典』(旺文社、1979年)


 『日本名詩選』は、上記のような古い名詩評釈本の系譜を受け継ぎつつ、第3巻を昭和戦後の詩のみに特化させるなど、情報の最新化を行いました。
 『日本名詩選』は、題名だけを見ると、純粋な国文学の研究業績のように見えます。しかし、この3冊本には、比較文学的な視点を取り入れています。

 第一に、訳詩を創作詩と対等な作品として扱ったことです。西洋の詩の翻訳を、創作詩より一段低いものと見なすことはせず、自立した「日本の」名詩として積極的に評価しました。
 『新体詩抄』の「グレー氏墳上感懐の詩」、新声社訳「於母影」の「ミニヨンの歌」「花薔薇」、上田敏訳『海潮音』の「落葉」「わすれなぐさ」「山のあなた」「春の朝」、永井荷風訳『珊瑚集』の「そぞろあるき」「無題」、鈴木信太郎訳「都に雨の降るごとく」、さらに堀口大学訳『月下の一群』の「ミラボオ橋」「地平線」「シヤボン玉」「耳」です。

 第二に、アイヌ及び旧植民地朝鮮出身の詩人による訳詩や創作詩を、名詩として評価している点です。
 すなわち、知里幸恵訳「梟の神の自ら歌つた謡」、金素雲の日本語訳による「カフエー・フランス」「ふるさとを恋ひて何せむ」「青葡萄」「猫」、さらに、戦後の在日詩人崔華国の「洛東江」を取り上げました。なお、漢詩の訳として、佐藤春夫訳「恋愛天文学」や井伏鱒二訳「田家春望」「秋夜寄丘二十二員外」「勧酒」も含まれています。

 比較文学の視点を取り入れた第三の点としては、各作品における西洋詩や漢詩からの影響を、なるべく注釈に明記するよう心がけたことが挙げられます。全222篇のうち計104篇に、外国文学からの影響を指摘しました。

 8年間という長い時間を費やし、苦労して作り上げた本です。『日本名詩選』3冊が、日本の近現代詩に関心を持つ愛好家や研究者に末永く愛されることを、私は心から願わずにはいられません。

[日本名詩選1]
何度でも出会いたい日本の名詩。
明治15年『新体詩抄』の刊行の際、「明治ノ歌ハ明治ノ歌ナルベシ、古歌ナルベカラズ」と宣言した新詩形がはじまる。西欧詩と日本古来の詞華の世界が融合し、日本の詩のアイデンティティが確立する時代。

矢田部良吉訳/外山正一/新声社訳/国木田独歩/島崎藤村/土井晩翠/与謝野鉄幹/与謝野晶子/上田敏訳/薄田泣菫/森鷗外/蒲原有明/北原白秋/永井荷風訳/石川啄木/福士幸次郎/高村光太郎/山村暮鳥/萩原朔太郎/千家元麿/室生犀星/堀口大学/西條八十/佐藤春夫/高橋新吉/知里幸恵訳/宮沢賢治/鈴木信太郎訳/北川冬彦/八木重吉/吉田一穂//全76篇収録

[日本名詩選2]
詩人たちの魂の声に耳を傾ける。
戦争や社会問題が詩人たちに刺激をあたえ、詩の黄金期ともいえる19年。新体詩の流れをくむ抒情詩と、最新のモダニズム作品が、激しい葛藤や対立を繰り返し盛んに作られた時代。詩壇は現代へと変化する。

八木重吉/草野心平/高村光太郎/安西冬衛/北原白秋/佐藤春夫訳/金子みすゞ/北川冬彦/田中冬二/三好達治/中野重治/宮沢賢治/河井酔茗/岡本潤/西脇順三郎/萩原朔太郎/中原中也/丸山薫/伊東静雄/井伏鱒二/立原道造/村野四郎/金素雲訳/永瀬清子/山之口貘/全74篇収録

[日本名詩選3]
人生の傍に詩という良き伴侶を。
敗戦から昭和の終わりまでの40年、近代詩と区別し現代詩と呼ばれる本書所収の詩は、今を生きる我々にも繋がる生々しさが溢れている。詩の背後に隠れているものを、深い読みにより浮かび上がらせる。

栗原貞子/三好達治/永瀬清子/堀口大学/伊東静雄/丸山薫/壺井繁治/金子光晴/三好豊一郎/高見順/原民喜/谷川俊太郎/飯島耕一/黒田三郎/村野四郎/中村稔/吉岡実/鮎川信夫/会田綱雄/高野喜久雄/吉野弘/茨木のり子/石垣りん/新美南吉/高田敏子/関根弘/石原吉郎/吉本隆明/山之口貘/三木卓/新川和江/菅原克己/吉増剛造/大木実/荒川洋治/井坂洋子/中桐雅夫/崔華國/入沢康夫//全72篇収録

2015年6月1日月曜日

日本比較文学会 関西支部 役員

支 部 長:西 成彦
庶務委員:橋本順光
会計委員:須藤直人
会計監査:田辺欧・日高真帆
ニューズレター編集委員:加瀬佳代子

* 任期は2015年6月~2017年5月

ブログ担当:大東和重